昨年10月、三重県の伊勢神宮で式年遷宮が行われました。ご存じの方も多いかと思いますが、
伊勢神宮内のお社が20年に一度、新しく建てられ、そちらにお引越しをするという儀式です。
内宮(皇大神宮)・外宮(豊受大神宮)の二つの正宮の正殿と14の別宮の全ての社殿を隣に新しく建て替えるのですが、同時に鳥居や内宮にかかっている宇治橋も新しくなります。
聞いた話では宇治橋は20年の間に10センチほど削れて薄くなるのだそうです。
それだけ多くの方が伊勢神宮を参拝されるているのですね。
この式年遷宮、第1回目は690年だそうです。もう1400年近くも続けられているそうです!
ニュースやテレビの特番を見ていても、その格式というかなんともいえない壮大さを感じさせられます。
インターネットやスマホの時代になっても、こういった儀式が古式ゆかしく続けられているというのはとても感銘を受けますし、後世にも絶対に残しておきたいものでもありますよね。
伝統と言えば、手ぬぐいも同じく日本古来の伝統的なものです。
特に本染め手ぬぐいは、職人がその経験 と勘により、その日の気温、湿度などを感じ取りながら手作業で染めていきます。
一度に20枚程度の生地を染めていくのですが、注染という手法で行います。染料も反応染料を使用しますが、これは生地の繊維に反応して発色するというものです。性質上、高輝度の発色が難しいので、蛍光色など昔にはなかったであろう色では 出にくい色もたくさんあります。
注染は生地の裏まで染料が染み込みます。それを20枚程度同時に染めるのですから、1枚1枚の風合いが微妙に違ってきます。すなわち、同じものは2枚とないという結果が生まれます。オリジナルで作る場合、デザインがオリジナルの上に、染まり方がすべて違ってきますので、作る側も持つ側も、特別な思い入れをもっていただけると思います。
また、本染めの味わいはやはり通常のプリントでは絶対に再現できないものです。これぞ伝統の味!と言えるでしょう。数の面で言えば、手ぬぐいはやはりタオルよりは少ないですし、オリジナルとなるとさらに少なくなります。ましてや本染めのオリジナル手ぬぐいとなると、持っていることにかなりのプレミアム感があると言っても過言ではありません。
式年遷宮のように守り続けていかなければならないものがあります。
本染めの技術も私は後世にぜひとも残していくべきものだと確信しています。