「今年は赤トンボの数が少ない」んだそうです。
ある方と話をしていて、ふいにこんな話題を聞かされました。
なんでも夏の猛暑で水が少なくなっていて、トンボの幼虫のヤゴが育たなかったのが原因とか。
そういえば、今年の夏は蚊も少なかったように思います。
これも蚊の幼虫のボウフラが生息出来る水たまりなどが猛暑で枯れてしまっていて、育たなかったのが原因だと言われています。
よく日本人は四季の移り変わりを季節に取り入れるのがうまいと言われます。
これは私の勝手な想像なのですが、農耕民族である日本人は季節にいろんなことの影響を受けてきました。
それこそ日照りや長雨、台風などでお米が収穫できなかったり、雪のせいで身動きが取れなかったりと、決して楽しいことばかりではなく、むしろ辛いことの方が多かったんだろうと思います。
でも、いくら辛いとか悔しいとか思ってみても相手は自然です。
文句を言っても仕方がありません。だったらそれを受け入れて、むしろ楽しんでしまおうという気持ちが昔の日本人にはあったのではないかなあと感じざるを得ません。
考えて見れば、四季に応じて気温や湿度も大幅に変化するわけですから、着る服や寝具なども季節に応じて対応していかなければならないことになります。
これって例えば常夏の島であったり、一年通して気温の上がらない寒冷地であれば、ある程度同じ格好で過ごすことも可能であったでしょう。
それを季節に応じて対応しなければならないわけですから、日本人の生活環境というものはある意味大変なことが多いのかも知れません。
日本人は単に衣類の素材や厚さなどを季節に合わせるだけでなく、その中に柄としてうまく反映することで、むしろ四季折々を楽しむという文化を持っています。
手ぬぐいの柄にもそれはよくあらわれていて、梅や桜といった春の物から、スイカ、金魚などの夏の物、秋には赤トンボや紅葉、冬にはお正月の模様や雪などをうまくあしらっています。
そうそう、梅雨の時期の傘やカタツムリ、カエルなんかもありますよね。
※お客様の声を参考にして下さい
そういう柄ものを持っているだけで、「ああもう秋なんだなあ」と季節が移り変わってきたのを実感し、やがて訪れる冬に備える。
そういう暮らしをずっと続けてきたのでしょうね。
今、いろんなことが便利になって、季節感も薄れてきていますが、こういった日本人の美意識は無くしたくないなあと思います。
手ぬぐいを通じて、日本人らしさを残せていけたらいいなあ。