「職人魂」という言葉が好きです。なんか「命をかけている」というか「プライドを持って仕事をしている」って感じがするのが好きなんですね。
先日もそんなエピソードを聞きましたので、ちょっとご紹介させていただきますね。
自営業をされているYさんという男性がいらっしゃいまして、そのYさんがとても大切にしていた腕時計が動かなくなってしまったそうなんです。
その時計は外国製の時計で一般的な電池式のものではなく、ゼンマイで動く機械式の時計で、ご本人が脱サラしたときに奥様からプレゼントされた大切なものだったそうです。
困ったYさん、早速近所の時計屋さんに持っていったところ、
「メーカーに送って、分解掃除をしながら部品交換になりますね。金額は正式に見積もってみないとわかりませんが、大よそ7~10万円くらい見ておいてください」
と言われたそうです。
10万円!?!?
ある程度の出費は覚悟していたものの、さすがにその金額は厳しいなあと思ったYさん、他の時計店も当たっては見たのですが、答えは同じでした。
「やっぱり仕方がないのかなあ」とあきらめかけていたそのとき、たまたま買い物に訪れたデパートに「時計修理専門コーナー」があるのを見つけます。
ダメ元で行ってみたところ、60~70歳くらいの男性が対応して下さったそうです。
状況を説明し、時計を手渡したところしばらく触ってみて
「リュウズが軽いようなので多分ゼンマイが切れていると思います。メーカーに送ってもいいですけど、私どもでも修理をさせていただくことも出来ます。その場合、メーカーよりは少しお安く出来るとは思います。」
と言われ、とりあえず見積もりのために時計を預けることにしたそうです。
後日、電話があり、
「やっぱりゼンマイが切れていました。こちらで修理の場合、5万円ほどでさせていただけます がいかがしましょうか?」
とのことだったそうでYさんは即決で「お願いします」と答えたそうです。
Yさんがそのお店に決めた理由は金額のことよりも「この人なら大丈夫」と感じたからだと言います。担当の方の職人魂を感じたのだと。
弊社の製品の中にも本染め手ぬぐいというアイテムがあります。
これは職人が手作業で染めていく手ぬぐいでそのときの気温や天候などを読み取り、職人の技で仕上げるというものでまさしく職人魂を感じることが出来る一品です。
染料を注ぎながら染める注染という技法で作られた本染手ぬぐいは 一枚一枚表情が変わるのが特徴です。
20枚程度の生地を 一度に染め上げるのですが、染料を注いで染めるので当然一枚目と最後では染まり具合は変わってきます。
若干表情が違うのです。
このことを業者さんなどは「手ぬぐいの良さ」って言っていますが職人は本当のことをいうと紙の上にプリントするようにきっちり染めたいと思って注染しているのです。
しかし・・・ 実際はこのような理由からきっちり染まらないのが現状なのです。
展覧会に出すような工芸品として作成するのでしたら一枚づつ染めるでしょうが規格品として染める場合はこうなってしまいます。
でも、職人が作る手ぬぐいは単にその製品に味があるとか、特別感があるというだけでなく、ちゃんと綺麗に染め上げたい!と思うその魂も反映されていると思います。
ぜひ本染め手ぬぐいを手にとって、職人たちの魂を感じてみてください。