そもそも本染め手ぬぐいを作る時、何を聞いたらいいかわからないって言われるのをよく聞きます。
本染めの手ぬぐいは現代の顔料プリントとは違い、江戸時代からある
染料を生地にしみ込ませて作る染めの方法のため、馴染みがないからですね…。
今では、お店で売っているデザインされた手ぬぐいのほとんどがプリント手ぬぐいで、
これが主流になっていますが、一昔前までこの「注染」と言われる染めが主流でした。
「注染」とは、染料を注いで染める方法で、注いでデザインを染めていきますので、
プリントのように柄がきっちり繊細に出にくい所があります。
比較的ぼやっとした感じに仕上がるのです。
このように本染めはプリントとは違い、非常にいい加減なところがあります。
出来上がり自体もクッキリとした線を表現する事は難しく、
まっすぐな線を引いてもなんとなくぼやっとした感じで仕上がります。
まっすぐな線のつもりでもデコボコが出来たり、曲がった線になったり、
そういったものが「注染」で作った本染めの特徴となります。
本染めの場合はプリントと違い細い線が非常に苦手です。
最低でも2ミリ程度の線幅が必要で、これでも滲んだりカスレたりする事もあります。
デザイン的にもきっちりと出来ない所が多数あるのですが、
色にしても思ったような色が出にくいというのが本染めです。
これは職人の勘による所が多いためです。
顔料プリントでは出せるような明るい色も、本染めは非常に苦手です。
色を考えるときには注意が必要です。
でも、出来上がりの具合はプリントと比べると
非常にやわらかくやさしい感じがします。
温かみのある本染めの風合いは見ているだけで和みを感じます。
せっかくデザインを作ったのに本染めではムリ!…なんてことも沢山あります。
このあたりの長所や短所を踏まえた上で、デザインを考えていただければ大丈夫です。
流れですが、
まず第1に考えなければならないのがデザインです。
市販されている本染めの手ぬぐいを見て頂いたら大抵わかるのですが、
本染めの手ぬぐいは大柄が多いのです。
細かい柄も出来ないことはないのですが、
型代や染め工賃が高くなるので避けることが多いです。
価格は柄にもよりますが、
簡単な柄に比べると全体的に柄をつけた場合は価格が倍ぐらいになる事もあります。
当然型代も高くなります。
結局手間のかかるようなデザインを作る場合は、高価にもなるのです。
それから次に生地の選別です。
これはデザインによって使い分けます。生地は大まかに分けて2種類があり、
細かいデザインの場合は「岡」、一般的なデザインの場合は「文」を使用します。
生地の差ですが「岡」は細い糸を使って織っていますので目が詰まっています。
「文」は岡より太い糸を使っています。触った感じは岡の方が滑らかで繊細な感じ。
文はざっくりとした感じです。一般的な手ぬぐいの生地は文生地が主流となります。
そのあとは、左右の切りっ放しの部分の縫製をどうするか。
ハンカチのように三巻に縫うことも可能です。
だいたいこの流れで進めていけば本染めの手ぬぐいを作ることは出来ます。
ただ、はじめにも言いましたように本染めの手ぬぐいはデザインによって価格・納期も変わってきますので、
デザインを見せて頂いてから
このあたりをご相談いただくのが一番の早道です。
ぜひ一度お問い合わせください。
次回は、
「思った色に染まるだろうか?」、「安っぽいものにならないだろうか?」、
「どんな生地がいいだろう?」の疑問にお答えできるように本染めの色の話と生地の説明をしたいと思います。
ご期待ください。